この記事では、2024年8月に医学雑誌「ランセット」で発表された最新データと、鍼灸師の目線でどうすれば健康寿命を伸ばせるかについてご紹介します。
認知症について
高齢化が進む日本では、認知症になる高齢者が増え続けるとみられています。
🇯🇵認知症の高齢者(2024年5月発表 厚生労働省の推計)
◆ 2025年 471万6000人
◆ 2040年 584万2000人
団塊ジュニア世代が65歳以上になる2040年には、高齢者の約15%(6.7人に1人)が認知症になると予測されています。
2024年8月、世界の認知症に関する最新データをまとめた報告書が「ランセット」に掲載されました。
ランセット」(THE LANCET)は、世界的に有名な医学雑誌です。世界五大医学雑誌の一つとして高く評価されており、最新の医学研究などを扱っています。
この報告書によると、認知症のリスク要因は年齢層ごとに異なり、予防のための重要な知見が示されています。
「14のリスク要因について改善・対策することで、認知症の発症を最大45%防いだり、遅らせたりできる可能性がある」
リスク要因に対応することで、認知症を予防できる可能性があるとは、とても興味深いですね!
では、その年齢ごとのリスク要因についてご紹介していきます。
※各%は、そのリスク要因を解消することで認知症を予防できる割合です。
18歳未満の認知症リスク
①教育機会の不足(5%)
文字の読み書きなどの基本的な教育を受けることは、脳の神経ネットワーク強化に繋がります。
脳の一部分に不具合が起きても別の部分で補うことができるため、認知症予防につながると考えられています。
18〜65歳の認知症リスク
②難聴(7%)
特に高齢者において社会的孤立を招き、脳の刺激が減少することで認知症のリスクが増加します。
③高LDLコレステロール(7%)
血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)値が高いと動脈硬化をおこし、脳への血流が妨げられ、血管や神経細胞にダメージを与えます。
血管性認知症につながる脳卒中リスクも高まります。
また、アルツハイマー病に関連するアミロイドβ(タンパク質)が蓄積しやすくなります。
④うつ病(3%)
うつ病患者は認知機能の低下が見られることが多く、記憶や注意力に影響を及ぼすと考えられます。
⑤頭部外傷(3%)
頭部への外傷は、脳へのダメージをもたらし、認知症リスクを高める可能性があります。
⑥運動不足(2%)
定期的な運動は、脳の血流を改善し、神経の炎症を減少させます。
また、脳機能の維持にも重要です。
⑦糖尿病(2%)
血糖値コントロールが不十分な場合、脳への血流や栄養供給が悪化します。
特に65歳より若い時期で糖尿病を発症すると、認知症リスクを高めると報告されています。
⑧喫煙(2%)
喫煙は血管に悪影響を与え、認知症だけでなく心臓病や呼吸器疾患など、多くの健康問題と関連しています。
⑨高血圧(2%)
高血圧も、脳への血流に悪影響を与えます。
40歳以上では、収縮期血圧(上の血圧の値)を、130mmHg以下にすることが推奨されています。
⑩肥満(1%)
肥満は生活習慣病と密接に関連しており、特に中年期には認知症発症リスクを高める要因となります。
BMIが25以上の場合、肥満になります。
BMIの算出方法:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
⑪過度の飲酒(1%)
過度な飲酒は、脳の一部に萎縮を引き起こし認知症リスクを増加させます。
65歳以上の認知症リスク
⑫社会的孤立(5%)
高齢者が、退職後や配偶者を失った後に社会との接触が減少すると、社会的に孤立した状況に陥りがちです。
脳への刺激が少なくなることで、認知症リスクが高まります。
⑬大気汚染(3%)
大気中の有害物質は脳に悪影響を及ぼし、炎症や酸化ストレスを引き起こし、認知症リスクが高まるとされています。
⑭視力障害(2%)
視力が低下すると、脳への刺激が減少します。
また、外出や人付き合いを控えるなど、日常の活動量が減少することで認知症リスクが高まります。
これらのリスク因子に対応することで、最大45%もの認知症発症を予防または遅らせる可能性があるとされています。
鍼灸師ちはるの見解
ここからは、鍼灸師ちはるの個人的見解です。
私が思う1番大切なことは「自分の心と身体の声に耳を傾ける」です。
ご紹介した14のリスクは、どれも当たり前といえば当たり前の情報。
教育はあった方がいいし、病気や社会的孤立も避けたい、大気汚染は個人で対応するのは難しそう・・・
では、自分の生活に落とし込むにはどうすればいいのかというと「自分の心と身体の声に耳を傾ける」しかないと思うのです。(大事なことなので、2回言いました)
例えば、脳卒中のリスク要因のひとつでもある糖尿病は、失明・足の壊死なども引き起こすおそろしい病気です。
「体重・体脂肪が増え続けている」
「食後は、強烈な睡魔に襲われる」
「病院で、糖尿病予備軍と言われた」
こんな状況なのに生活を改めなければ、糖尿病にかかるリスクは当然高まります😱
そこで大切なのが「食べたい!でも病気は怖い」という心と「肥満で糖尿病予備軍」という危険な状態の身体のバランスを、自分自身でコントロールすることです。
東洋医学では、心の状態が身体に影響し、身体の状態が心に影響する「心身一如(しんしんいちにょ)」という考え方を大切にしています。
「病気になるリスクがあるのに、生活を変えられない」のは、心理的なつらさを補填するために、お菓子やお酒が必要な状態になっているのかも知れません。
だとしたら、やみくもに食事制限するのではなく、心のつらさを取り除いてあげた方が近道ですよね✨️
身体は元気なのに、心が憂鬱な状態が続いているなら、職場や人間関係などの見直しが必要かも知れません。
心は元気なのに、身体がしんどいなら、睡眠不足や、予定の詰め込みすぎかも知れません。
自分自身の心と身体に目を向けて大切にすることで、健康的な人生にしていきましょう💪🐼
記事は、以上になります!
最後まで、お読みいただきありがとうございました。